改めて思う、稲中の「歯医者行け」は至言

何かカジュアルに誰かを心配して相談に乗りたいと思ってる層っているでしょ。ミステリーの支持層に「殺人事件を解決したい」という幻想と欲求があるように、相談に乗りたいと思ってる瀬戸内寂聴症候群みたいなのがあるんです。「自分の説法で他人を救いたい」みたいな。震災後は特にね、「心配してる」っていう気分。「祈ってます」と同じニュアンス。

で、それで困るのが、相談しても問題解決能力が皆無なわけです。もはや相談の内容が理解できないってレベル。そういう人たちはプライドが高いので、困ったときの精神論で「まぁ、頑張ってみれば?」的な大雑把な説法で寂聴気分なわけです。

それで思い出したのが、稲中卓球部で前野がみんなの悩み相談を受け付ける回。「歯が痛いんだけど」という相談に対し「歯医者行け」と答えた前野はギャグとして描かれているが、それは現実にも起こりうるというか、実際に起こっていること。
分かりきってることをあらためて発言して悩み相談に乗った気分。

困るのはそれに対して、「いや、それくらいわかってるから」と答えると、相手のプライドが非常に傷ついて逆ギレされるところ。そういう事態を回避するために、気を使って生返事してると、「何を考えているかわからない」とみなされる。

「相談にのる」って行為は、ある種の娯楽なんだろうな。圧倒的優位な立場の確認と、自分の叡智の顕示。世の中、本当に困ったものである。